めん羊牧場から士別峠へ
3日目の朝。太腿のあたりに軽い筋肉痛を感じる。大きな座敷のある食堂で和風朝食を済ませチェックアウト。
今日もカンカン照りだ。朝8時を回ったばかりなのに立っているだけで汗が吹き出るくらい陽射しが強いが、蒸し蒸ししていないのですがすがしい朝ではある。
荷物のセッティングを終えコンビニでドリンク補給だ。今日は朱鞠内湖(しゅまりないこ)、美深峠(びふかとうげ)を巡るコースを予定している。
士別から名寄(なよろ)を経由するバイパスをあえて避けて、山の中を抜けるつもりなのでコンビニ、自販機もいつなくなるかわからない。
500mlペットボトルを3本買い込んでおこう。
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荷物のセッティングを終え出発
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真っ青な空が広がる
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R40を左折してR239に入る。真っ青な空が広がる。R239に入ってしばらく行くと左手に「羊と雲の丘」という案内板が現れる。
たしかツーリングマップルにも載ってたなこれ。よっしゃ行ってみるか!朝はまだ疲れがたまってなく元気なので寄り道も積極的にする。
R239から案内板にしたがって左折すると一気に人気がなくなり、両脇を木々に囲まれた細い道が続く。だらだらと登る。
陽射しがきびしいなぁ。もう汗だくだ。さっき買ったアクエリアスをゴクゴクと流し込む。景色が開けてきた。ちょっとした牧場を発見。
牛たちもこの陽射しにまいっているようで、サイロが作るわずかな日陰に身を寄せ合って暑さをしのいでいる。
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両脇を木々に囲まれた細い道
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遠くに見える丘の斜面に羊がいっぱいいるぞ。もうそろそろ「羊と雲の丘」かな?案内板どおり進んでいくと、きっつい登り坂になった。
見晴らしの良い高台への登りだろう。ギアを一番軽くしてもペダルが踏み込めない!今ツーリング初の「手押し」(自転車を降りて手で押しながら歩く)か?
いやまだ持ちこたえている。もう少し。ふ〜、ようやく坂が終わった。
丘の上にはレストランや駐車場があった。車で登ってくる人たちもいるようだ。一番見晴らしの良さそうなところから眺めてみる。
う〜ん白い雲の下に広がる丘がいい感じだ。遠くには羊たちの姿も見える。しかし、この場所異様にカラスが多いな。頭の上で「か〜か〜」うるさい。
いやうるさいだけならいいんだが、しきりに大移動を行うので頭の上をバサバサと大群で行ったり来たり。(襲われたらひとたまりもね〜な)
ということで早々に退散。来た道を引き返す。お、下り坂の先に見える景色もいいなぁ。登ってる時は必死だったので気付かなかったけど・・・。
再びR239に戻る。ここから先は小さな峠が2つほど続く。今日はこの後も峠が続くので、あまり脚を使いたくないな〜。
のんびり行こう。強い陽射しの中、汗を大量に流しながら進む。ギアを徐々に軽くしながら坂道を登る。
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坂道を登る
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小さな峠
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案ずるほどのことはなく、次々と峠をクリアした。
峠から先、下り坂ははるか先まで続いている。結構登ってたんだなぁ。峠の頂上でしばらく休む。
火照った体を冷やしながら吹き抜けていく風が最高に気持ちいい。さあ次はダウンヒルだ。
まるで青空へと続いているかのような1本道を、ブレーキをかけるのも面倒くさくなって勢いに任せ風を切って進む。
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峠の頂上でしばらく休む
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峠を下りきると畑の中を走るのどかな道が続く。温根別というちょっとした街のあたりでr251と一旦合流しふたたびR239を進む。
ここからはしばらく平地が続く。車も少なくひたすらペダルをこぐ。ランナーズハイのような感覚を覚える。頭の中も空っぽになっている。
真っ青な空にポッカリと浮かぶ白い雲を眺めながら広大な原野の中の道を進む。(あぁ・・・北海道にいるよ、オレ。)
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畑の中を走るのどかな道
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やがてなだらかな道も終わり士別峠への登りが始まった。登り坂自体はどうってことないのだが、あたりを森に囲まれたこの辺りにはスズメバチが多い。
時速10kmに速度が落ちたとたん私の周りをぐるぐる視察するようにスズメバチが取り囲む。刺されることはないだろうけどなぁ。やっぱ怖いわ。
でも登り坂だからこれ以上スピードも出ないしなぁ。がまんがまん。それにしてもあの「ぶぅ〜〜〜ん」っていう重低音はいやだ・・・。
幸い峠は程なく終わりスズメバチの脅威から解放された。(ふぅ〜。ヤツのせいでロクに水分補強できなかったぜ。)
車用のパーキングエリアで一休みしアクエリアスで喉を潤す。(やべ、朝3本買ったアクエリアスももう残り少ないなぁ。)
ま、朱鞠内湖まで行けば自販機くらいあるだろう。
朱鞠内湖
朱鞠内湖への大きな案内板に従いR275へ進路をとる。(観光名所というけれど、ますます人気のない雰囲気になっていくぞ。あの朱鞠内湖への案内板も随分寂れてるし、
今はほとんど見に来る人はいないな、こりゃ。)勝手な想像をしつつ進む。道の両脇には蕎麦の花が咲いている。アップダウンを繰り返していく。
大きな雲が頭の上に広がっている。雲の陰に入ると爽やかな風を感じる。気持ちいいな〜。
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蕎麦の花が咲いている
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濁った土色の川を渡りしばらく行くとやがて朱鞠内の市街に到着した。とりあえず自販機を発見。良かった。でも飯を食う場所はないな。ま、仕方ない。
もう少し行けばあるだろう。とりあえず朱鞠内湖を見に行こう。進路からはそれるが朱鞠内湖畔方面に進む。
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濁った土色の川
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朱鞠内の市街
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腹も減っていて行こうかどうしようか迷ったがせっかくなので行くことにしたのだ。結構なアップダウンが続く。これはこたえるなぁ・・・。
やっとの思いで朱鞠内湖に到着。でも誰もいないぞ。ほんと寂しい観光地だ。
しかし湖畔に行くときれいな湖が目に飛び込んできた。へぇー。すごいなぁ。
水が透明だ。いやぁきれいだ。セミの鳴き声だけが響き渡る静けさの中、悠々と水を湛える湖の美しさにしばし見とれる。
湖畔を少し散歩してみる。こんなにきれいな場所なのに見に来る人はいないんだな〜。と思っていたら、展望台に1台だけ乗用車が見物に来ていた。
湖畔に来て本当に良かったな。充実感いっぱいで再びR275へと引き返し美深方面を目指す。
しばらくは左手に朱鞠内湖を望む道が続く。しかし基本的に登っている。空腹時の登りはきついなぁ。でもしばらく飯を食える店はなさそうだ。
水分をガンガン補給するが空腹感はおさまらない。
やがて湖は見えなくなり、林の中の道を登ったり下ったりする。単調な道が延々と続く。あ〜腹減った〜。
仕方ない。非常食のカロリーメイトを食べよう。木陰で一休みしカロリーメイトを食べる。口の中がカラカラに乾いているため、パサパサとした食感で、
口の中に張り付いてくる。(食いにくいな〜。)アクエリアスで流し込むようにして完食。なんかそんなに腹の足しにならないな。
もう少し行った母子里という所にホクレンがあるみたいだ。何かしら食い物があるだろう。そこまで我慢だ。
美深峠
相変わらず短いアップダウンが繰り返される道を走る。昼を回って陽射しはますます強くなってきた。アクエリアスもお湯のようになってしまっている。
長い下り坂を下りると景色が開け平地が広がってきて牧場が現れた来た。ようやく山の中を抜けたかな。
さらに行くと町の気配がしてきた。あっホクレンだ。何か食べ物あるかな。期待して行ってみるもガソリンと自販機だけだ。はぁ〜。
しかも自販機のそばにいた犬にいきなり吠えられ不愉快。飲み物だけ買って退散。
ツーリングマップルによるとホクレンからすぐ近くに「クリスタルパーク」という公園があるらしい。WC・飲水所ありと書いてある。
食い物はないか・・・。行ってみると何の変哲もない公園だ。なんかとんがったモニュメントがある。
ツーリングマップル曰く、「日本最低気温マイナス41.2度を記録して建てたモニュメント」らしい。氷をデザインしたのかなぁ。
にしてもマイナス41.2度ってなんだ?想像もできん。
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クリスタルパーク
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折角だから顔でも洗っていくか。自転車を降り、管理事務所に入る。冷房が効いていて涼しい。トイレから出てくると管理人らしき人に話しかけられる。
割腹の良い大柄のおっちゃんだ。
「30度を超えると暑くて働く気がしないな〜」と言いいながら私の横の長イスにどっかと腰をかける。
私が川崎市から来たというと何とその方の弟さんが今川崎市に住んでいるとのこと。しかも私の住んでいる所のすぐ近く!
いや〜世間は狭いな〜。
ちなみに飯を食う場所は美深の街まで行かないとないらしい・・・。
気になる美深峠はこの先すぐあるそうだ。勾配はきつくないが一直線の登りが5kmくらい続くらしい。でも峠を越えると美深の街まではずっと下りとのこと。
ようし、今日最後の一踏ん張りだ。美深峠を越えて飯にありつくぞ〜!
クリスタルパークを後にする。管理人さんが言ったとおりすぐに登り坂が始まった。確かに勾配はたいしたことないな。じわじわとのんびり登っていこう。
ギアはもちろん一番軽くして時速10km程度で着実に進む。決してきつくはない登り坂だが、暑さと空腹で眩暈がしてきた。
(ふ〜。もう余計なことは何も考えないぞ。オレはただのマシンだ。たんたんとペダルをこぐマシンだ。)疲れている時は機械的に登ってしまうに限る。
峠の頂上は「まだかな〜」と待っていると長いのだ。何分ぐらい経っただろう。スピードメーターの距離を見ると登り初めから4kmくらい来た。
あのおっちゃんの話を信じればもうすぐ頂上だな。
あっ、見えた!少し先でこんもり盛り上がった坂が途切れている。
美深峠に到着。見晴らしは良くないが、峠を登り切った時の充実感はいいものだな〜。しかもここからは長〜いダウンヒルが続いているとのことだ。
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美深峠に到着
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さ〜行きますか。眼下に続く長い下り坂に突入。
ビュ〜と風を切って進む。額から流れる汗のしずくが耳の辺りに吹き飛ばされてくる。
もうペダルをこぐ必要はない。そのかわりにブレーキをたくさん使う。スピードが出過ぎてしまうからだ。
50km/h近くまでは出しても何とか自転車を制御できるけど、それ以上だともう暴れ車になってしまうので気をつける。
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辺りには農家が増えてきた
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握力がなくなるほどブレーキをかけてようやく下り坂が終了。辺りには農家が増えてきた。ちょっとしたアップダウンを繰り返しながら程なく美深の街へ到着。
まだ4時前だな。でも今日は峠をいくつも越えて疲れたし、早目に宿で休みたいなぁ。美深に泊まろう。
さて宿探し。とりあえず美深駅まで行き街の雰囲気を確認。駅の駐輪場に地べたに座り、昨夜士別で買った「宿泊北海道」をパラパラとめくる。
色々と悩んだが「ゲストハウスぴふか」というマンション風のホテルに泊まることにした。
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美深駅
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「ゲストハウスぴふか」
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宿は駅からそれほど離れていない所にあった。見た目は学生寮みたいな感じだ。1階の食堂の脇にフロントでチェックイン。
予約の時におばさんに「屋根のある所に自転車を停めたい」と言っておいたのだが、見たところ建物の近くには屋根がある場所がない。
「自転車は車庫のほうでいいかしら」
「え?」
何とおばさんは車庫の鍵を持って私を先導し、自宅の車庫に停めさせてくれた。(何かわりぃな〜)
でもありがたく使わせてもらうことにした。
ちなみに後から宿泊に来たバイクツーリストは宿泊施設の前の屋根なしのところにバイクを停めていたな・・・。
建物自体はそれほど新しくないかなっと思ったが、部屋はかなりきれいで良かった。居間と寝室の2部屋あり広々としている。
ただ、冷房がないので扇風機をつけて暑さをしのぐ。
風呂に入り6時からようやく飯だ!待ってました〜。
もう空腹も通り越したよぉ。炊き込みご飯とカレイの煮付け。蕎麦もついている。
いっただきま〜す!
生ビールをジョッキ2杯飲みながら、ご飯を次から次へとかき込んだ。(あ〜うめ〜!)
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ようやく飯だ!
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腹が満たされ幸せな気分だ。食後、宿の名前が何で美深(びふか)でなく「ぴふか」なのか気になったのでおばさんに尋ねてみた。
「ぴふか」はアイヌ語とのことだ。「石の多い場所」という意味らしい。天塩川の川原に石が多い様子を古のアイヌ人はそう表現したのかな〜。
「びふか」と「ぴふか」。あらためて北海道はアイヌ人の大地なんだな〜と思う。
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夕暮れ迫る美深の街
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石油タンクが設置してある
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食後はお決まりの散歩。夕暮れ迫る美深の街をのんびり歩く。それにしても家々に石油タンクが設置してあるのは何だろう?
冬場の暖房用燃料かな?
士別にもレンガ造りの古い倉庫があったけど、美深にもかなり古い建物が多いなぁ。戦前にタイムスリップしたようだ。
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古い建物が多い
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散歩から帰り、部屋でのんびりする。あ〜今日も疲れたな。良く眠れそうだ。