3日目 熊?
3日目 熊?
温泉に入り全身さっぱりした。服を着替え外へ出ると、風呂上りのほてった肌を、霧を含んだ摩周の風が冷ましてくれる。
鍵もかけず庭先の植木に立てかけておいたMTBを起こす。さあ摩周湖へ向けて出発だ、と行きたいところだが、どうにも腹が減ってきた。
思えば朝からウィダーインゼリー1個しか食べていない。R241を東へと引き返しながら店を探す。
右手にあった「道の駅摩周」に立ち寄ってみる。広々とした駐車場にMTBをとめて売店の方へ歩く。
駐車場の奥には背の高い木々が遊歩道沿いに連なっている。この辺りは観光名所でありながら、どことなくひっそりとした雰囲気だ。
売店の中には何人かライダーがいて、カップラーメンを立ち食いする姿もあった。いい匂いに魅かれたが、少しはまともな物を食っておきたい。
売店を出てしばらく先へ進むと、駐車場を挟んだ道の反対側に『おにぎり+かに汁』という看板を発見。シンプルな取り合わせに魅かれて立ち寄る。
テイクアウト方式で外のパラソル&ベンチで食べさせる店のようだ。すでに先客がいて食べているので見てみると、おにぎりはいたってシンプル。
海苔のない白いもの。だが、かに汁はなかなかすごかった。どんぶり位の大きさの容器にあしがつっかかり入りきらないほどの大きさのかにが入っている。
私はどうもこういう単純な視覚的刺激に弱いらしい。ここに決めた!
注文をし、外のパラソル席に腰をかける。待ってる間、一人で所在無げにしていると、この店の主人の親戚という小学校1年生の男の子が話しかけてきた。
横にとめてある私のMTBをしげしげと見ながら色々と質問をしてくる。24段変速機がついたMTBは小学生にとっては珍しいのだろうし、かっこいいと思うのだろう。
そういえば、私の小学生の頃も、何段変速のギアか、ということが自転車のステータスみたいになっていたものだ。
料理が運ばれてもその男の子はずっと話し相手になってくれて、店の主人は「迷惑だからやめなさい」といっていたが、私としては不思議に童心に帰るような
感覚でその男の子と話をしていて楽しかった。
食事を終え、口直しにソフトクリームを食べる。この店のソフトクリームはかなりうまい。私は、ここの店のみたいに、牛乳の比率が高いソフトクリームが好きだ。
さて、汗も流して、腹ごしらえもできた。これから、一気に摩周湖まで行くぞ。気合十分で道道52号へアプローチしていく。
道道52号に入る。とにかく直線的な道路である。道幅は北海道にしては狭いほうか。交通量はそれほど多くはない。
走り始めてすぐに、足が何だか重く感じる。おかしいな。休憩もしたし、平坦な直線道路だ。どうしたんだろう。
理由はわからないが、ともかく、マイペースで進むこととする。
やがて左手に、ミルク製品を取り扱っている店を発見。
チャリダーと思しき人のチャリが横付けしてある。よし、ちょっと寄ってみるか。速度を落とし、自転車をひく。うん?
自転車が後ろに引っ張られる感じがする。手を離すと後ろに下がっていってしまう。そうか。登り坂だったのか。
まっすぐな道だったから気付かなかったが、実はじわじわと登っていたらしい。店内に表のチャリの主はいないようだったので、
再び出発。
道路の両脇は林に囲まれている。時折鉄柵がしてあって、熊に注意の看板がある。
それでも道路から林までの距離は3mほどあり、それほど恐怖を感じるものではないので、先を急ぐ。
やがて、道幅が極端に狭くなると同時に勾配が急になってくる。手を伸ばせばすぐに林の木々を触れそうなくらいの距離。
急勾配になり、もはや自転車に乗っていられない。とぼとぼと1〜2km歩く。そのうちに車がたま〜にしか通過しなくなってきた。
もし熊でもでたら・・・。と考えていると、やはり「熊生息地」「熊出没注意」と、たたみかけるように看板が現れる。
一体摩周湖まであと何キロなんだ。体力と精神力両面でダメージを受け、かなり弱気の状態。つい、後ろを振り返る。
長い下り坂が見える。この先、体力はともかく、恐怖心で進めそうもない。・・・とりあえず摩周湖はあきらめよう。
1時間ほどかけて登ってきた道のりを逆走。軽快に飛ばす。汗が冷えて寒い。
道道52号とR391、R243との交差点まで引き返し、R243を進み、屈斜路湖へ進むことにする。今日の宿泊予定地は屈斜路湖半の
和琴キャンプ場だからだ。本当は摩周湖経由で屈斜路湖へと思っていたのだが、仕方がない。
R243は大きな道だ。熊の心配はないだろう。天気もかなり回復してきた。時折のぞく陽射しにモチベーションがあがってくる。
5kmほど進むと、急に交通量が少なくなる。そして間もなく「阿寒国立公園」内に入った。自然保護エリアである。
ということは熊がいる可能性も高いと思われる。しかし、さっきよりは道路も広いし、もし熊が出たとしても逃げられるだろう。
そう安易に考えていた。

再び人気がなくなる
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本当に車が通らなくなってしまった。見なければ良いのに、すぐ脇の林の中を見ながら進む。
と、その時、大きな黒い物が、4つんばいでゆっさゆっさと歩いているのを見てしまった!!・・・熊だ!!。
写真に撮ろうか、でもまだ気付かれていない。
ここはおとなしく逃げるべきだ。幸い距離がかなりあったので一目散に逃げるという状況ではなかった。気付かれないように
いったん通り過ぎてから、恐怖がじわじわとあふれてきた。やはり、ここはやばい。屈斜路湖までまだかなりあるし、ここら辺が熊の生息地であることは
間違いがない。予定は狂ってしまうが、命あってだ。
Uターンし、林には目をやらずに、全速力で駆け抜けた。