2日目 釧路湿原その2
2日目 釧路湿原その2
道幅の狭い山道をしばらく進むと、少し開けた交差点に着いた。思えば釧路市街を出てからずっと1本道だった。
久しぶりに見る交差点の周りには、さびれた喫茶店やガソリンスタンドが並んでいる。
昼時だというのに人の気配はまったく感じられず、セミの鳴き声が遠慮なく響き渡る。
どうやら、釧網本線の遠矢(とおや)駅が近くにあるようだ。
11時を過ぎてそろそろ昼飯をどうしようか考えるが、あまりにさびれた店しかないので、もう少し先に進んで見ることにした。
遠矢駅を過ぎると、国道391号は釧網本線との並走を終え、釧路湿原より東にそれながら続く。
釧網本線は釧路湿原に沿って続き、
湿原見物の名所である「細岡展望台」を通る。R391からも左手に展望台へ抜ける道があり、
できれば行ってみたかったが、寄り道をする体力的な余裕はなくあきらめた。
寄り道をしなくて正解だった。
遠矢を過ぎると、激しいアップダウンが連続した。釧網本線と別れてからは、まさに「人里離れた」
峠が続く。
あちらこちらに「産業廃棄物処理場」があり、大型トラックが大量に排気ガスを出しながら処理場に向かう。
大自然が都市のいわば尻拭いをしている現実がここにある。
自分も含め、普段都会人が何一つ不自由なく都市生活を営んでいるそのひとつの結果が、大自然への
産廃投棄という形であらわれている。
何も知らずに辺りを飛び交うアブやハチが少し気の毒になる。
直線の登り坂に差しかかる。目を凝らしてみるが終わりが見えない程長い。
ギアを徐々に軽くしてなんとか自転車に乗ったまま進む。ほとんど歩くくらいのスピードになってしまっている。
いかにも山の中を切り開いたというような人工的な真新しいアスファルトの道路を見つめながら
必死でペダルをこぐ。
雲の合間から射す薄日がジリジリと腕や顔を焼いているのを感じる。汗が滝のようにあふれ、道路に黒い粒を落としていく。
左側には大きな林が広がっていて、アブやハチ、トンボやモンシロチョウがゆっくりと進む私の周りを一緒になってついてくる。
たまに顔に当たったりもするが、この状況ではもうそんなことはどうでも良かった。
とにかく一歩でも先に進むことだけに全神経を集中させていた。
登り坂の先に空が見えた。ようやく長い登りが終わる!
はやる気持ちをおさえ、ゆっくりとその時を待つ。
頂に立つと、視線の先には一直線に続く下り坂が広がっていた。
屈強さを誇るMTBでさえ壊れてしまうんじゃないかと思う程の
スピードで坂を一気に下り切る。
今までかいた汗が風に吹き飛ばされていく。
登りから下りに切り替わる時は最高に気持ちがいい瞬間だ。
しかし、北海道の大自然は、「にわか自転車乗り」に簡単に快感を味あわせるほど甘くはなかった。
下り坂を終え、まだ足の疲労も取れないうちに次の登り坂が現れる。そんなアップダウンが3回ほど続き、
12時を過ぎる頃には、腹も減ったせいか、ヘトヘトになってしまった。

湖畔にはカヌーが並べられている
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峠をいくつか越えたので、周りの景色もだいぶ変わってきた。道の両側の樹木に白樺のような木が混じりだす。
少し陽がかげり、やや霧がかかったような薄暗い天気になってきた。
ほどなく塘路湖への入り口の看板を発見。このあたりで再び、R391は釧網本線と並走を始める。
塘路湖は周囲18km、面積6.2k、水深7mで釧路湿原最大の湖だ。
ワカサギや鯉などの漁業が行われており、ワカサギは佃煮やいかだ焼きとして加工され地域の名物となっている。
湖畔にはキャンプ場があり、湖でカヌーを楽しんだりできる。

透明度の高い塘路湖
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R391を左折し、塘路湖畔までの石畳の遊歩道をゆっくりと進む。左手の白樺林の奥に、キャンプ場「レイクサイド塘路」がひっそりとたたずんでいる。
土の道を踏みしめ、林を抜けると、広々とした芝生のキャンプサイトに到着。駐車場には何台かキャンピングカーが停まっている。

芝生のテントサイト
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自転車を横倒しに停め、パンパンに張った
足を揉み解しながら、湖のほとりにある小さな2階建てのログハウスに向かう。
室内は薄暗いが木の温もりが感じられる。
1階にはフロントと小さな待合室と食堂しかない。こじんまりとしていて、どことなく田舎の駅の待合室を思わせる。
食堂の窓の外にはテラスがあり、
デッキチェアと白い柵越しに、真夏の木々に囲まれ、静かに水を湛える塘路湖が見える。

食堂から眺める塘路湖
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窓辺の椅子にゆっくりと腰を掛ける。自転車のサドルから解放され、ようやく一息つけた。

ようやく一息つく
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家庭的な味のカレーライス
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昼食に家庭的な味のカレーライスを食べ、体力も回復してきた。