2日目 釧路湿原その1
2日目 釧路湿原その1
2日目の今日は、釧路市外から、釧路湿原を左手に国道391号をひたすら北上するつもりだ。
目的地はパノラマ展望で有名な、「多和平キャンプ場」。
ホテルの近くの人通りの少ない路上で、念入りに荷造りを済ませ、いよいよ出発だ。
今日は雲が多い。蒸し暑いが、昨日のようなジリジリとした暑さではない。半そでのTシャツに、膝までのトレーニングパンツ。サングラスをかけて
赤いデイパックを背負う。昨日のジーパン姿に比べると、なかなか様になってきた。
国道391号に出るまでに意外と手間取ってしまった。手元のツーリングマップルを見るのだが、店などの目印があまりないため、同じ道を
何回か行ったり来たりして現在地を確認しながら進まなければならなかった。
釧路駅の北側は住宅地になっており、細い道が碁盤の目のように続く。住宅街は西を新釧路川、東を釧路川に挟まれた地域で、
およそ北海道らしくない狭い路地の両側に古びた家や小さな工場が密集している。
路地には人影はなく、たまに作業用の軽トラックが後ろから追い抜いて行くくらいだ。
曇っているせいか、さながらゴーストタウンのようだ。
住宅街を抜けると国道44号にぶつかった。広々とした片側2車線の幹線道路で交通量も多い。
道の両サイドには、家電量販店やファミレスがポツポツと出現。
左手に大きなスーパーを発見。そういえば、羽田空港でキャンプ用ガスを預けてきてしまったので、現地調達する必要があった。
どう見ても無駄と思えるような
だだっ広い駐車場を横切り、店の真ん前で自転車を止める。店の人に聞いたが、残念ながら売ってなかった。むしろキャンプ地に近い店のほうが取り扱っているのだろうと
思い、調達は後回しにすることにした。
釧路川を渡ると、すぐに国道391号にぶつかる。国道391号は片側1車線で、道幅もそれほど広くない。
右手の林の中には釧網本線の線路、左手に釧路川、さらにその奥には釧路湿原を望みながらの緩やかな登り坂が続く。
もう街の気配はすっかりなくなり、木々や草花の匂いに包まれてきた。
たまに車が追い越して行く音が消えるとまた次の車が通るまでしばらくの静寂が訪れる。
時折のぞく晴れ間から真夏の陽射しが照りつける。
ここへきてようやく旅をしている気になってきた。普段なら働いている時間に、誰も知らないこんな場所で、
自転車に乗っていることが無性におかしかった。
喉が渇いてきた。ホテルから持ってきたものは飲み干してしまった。
どれくらい登ったのだろうか。すっかり山道の様相を呈してきたこのあたりには店はおろか
自販機もないようだ。とその時、昭和30年代の商店のような古びた店の前に、さびついた自販機を発見。ここで水分補給だ。しばらく休憩する。
商店の周りは舗装のされていない土の道が続いており、裏の方には背の高い木がたくさん茂っている。
自転車を止めると、ハチやらアブやらがブンブンと寄ってくる。でも、今日はなぜか気にならない。自分でも不思議だった。
飛行機に乗って、わざわざこんな所まで自転車で来て、ハチやアブの日常に立ち入っているのは自分のほうじゃないか。
大自然を目の前にして、いつしかそんな風に考える様になっていた。