1日目 釧路市街
1日目 釧路市街
「釧路市街まで20km」の道路標識を思わず疑いたくなる。
行けども行けども、周りは牧場だらけ。一向に「市街」の気配が感じられない。ただ、山花公園でのキャンプ計画が崩れてしまった今となっては
、もう後戻りはできない。とにかくこの道を信じて進むしかない。

辺りには牧草地帯が広がる
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ペダルをこぎながら、今後の予定を考える。
頭が痛い。正直、無謀な計画だった
ことを認めざるを得ない。
帰りの航空券が8月6日であることが悩ましかった。
どうやって時間をつぶそうか。
いっそ自転車をどこかに置いて、レンタカーでも借りて普通に道内観光をしようか。
そんな弱気な考えが脳裏をよぎる。
リアキャリアに積まれた山のような荷物が恨めしい。
しばらく行くと、牧場は終わり、次第に交通量が増えてきた。こころなしか道路も整備されてきたようだ。時折、スーパーの案内などを見かけるようにもなった。なんとなく、市街地に
近づいてきている感じがする。
右前方に、見慣れたコンビニの看板を発見!
空港からずっと続いていた不安感が、ようやく解消された。
コンビニという都市生活の象徴を目にしてやっと落ち着いた。
「自然」への不安が、空港を出てからずっと続いていたのだ。
ここから先は釧路駅に向けて一気に都市が開けていった。駅へと続く大通りを進む。ファミレス、スーパーなどが道の両側に現れだした。
後は、今夜泊まる場所を確保し、ゆっくりと落ち着きたい。午後4時を過ぎ、徐々に夕暮れが近づいているようだ。
海岸沿いの工場地帯を通り抜ける。
視線の先には、工場の大きな煙突から、白い煙がモクモクと出ているのが見える。
自転車の盗難に気をつけながらの、見知らぬ土地での宿探しは、意外に骨が折れる。
ホテルを発見しても、空き室を確認に行くために、いちいち、安全な駐輪スペースを確保しなければならなかったからだ。
長時間の走行で、ついに尻が痛くなりだした。いったん休憩をとろう。そういえば昼飯を食ってなかった。
釧路駅北口の交差点にある、イトーヨーカ堂内のロッテリアで、記念すべき北海道初の飯を食べる。
自転車を降りての行動は、とても大変である。まず、荷物を全部自転車から外すのに手間がかかる。空港で時間をかけて
セットアップした荷物を外すことになる。次の出発の際にまたセットアップしなければならない。
それに、外した荷物を全部持ち歩くのは結構大変だ。せっかくひいていた汗がまた吹き出す。
表にとめた自転車が盗難されないかを気にしながらの短い食事を終え、地図で釧路駅を確認。
駅の近くにはホテルがありそうだ。
イトーヨーカ堂のトイレで顔を洗い、トイレを済ませる。首にかけたタオルで顔を拭いてリフレッシュ。
釧路駅北口の標識からは想像もつかなかったが、信号待ちのときにおじさんに駅への道順を尋ねたところ、まだ2〜3kmあるようだ。
夕暮れはだんだん近づいてきている。
大きな川にかかる橋を渡っていると、反対車線から、何やら大声で呼びかける声が聞こえる。
「お〜い、お〜い」
見ると、私と同じように、自転車でツーリングしている2人組の若い男の人がこちらに手を振っている。
二人とも、よく日焼けしていて、かなりのベテランのようだ。
「がんばれよ〜!」
「ありがとう!」
私も手を振りこたえた。
北海道という見知らぬ土地の寂しさがそうさせるのか、自転車ツーリスト同士の挨拶は、ここでは常識らしい。
精神的にまいっていた私にはその声援が本当にうれしかった。
こころなしかペダルを踏む足に力がみなぎってくるようだった。