1日目 山花公園
1日目 山花公園
山花公園オートキャンプ場への案内板を発見。今進んでいる65号から左折との指示。

道道65号沿いに続く草原
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最近山を切り開いたのだろうか。真新しいアスファルトの登り坂をぐいぐい登る。
65号をそれ、本当に人の気配がまったく感じられなくなった。
遠くの川のせせらぎ、鳥の鳴き声、セミの声、そして周りを飛び交うハチの羽音。まさに自然の音楽だけが支配する空間だ。
MTBのタイヤ音と私の呼吸音は、そんな自然の音楽を邪魔しているようにさえ感じてしまう。
ギアを軽くして、延々と続く登り坂をなんとか止まらずに登り続けた。
体中から汗が噴き出しているのが分かる。
ようやく坂を登り終えると、大きなログハウスが見えてきた。おそらく山花公園オートキャンプ場の管理棟だろう。
あそこに行けばとりあえず誰かいるだろう。急いでログハウスの正面入り口のあたりに自転車を乗りつけた。
このMTBにはスタンドがない。そこで何かに立てかけて止めようと思い、適当な場所を探していると、またしてもハチがワンワンと周りを取り囲み始めた。
あせってバランスを崩したため、自転車は荷物ごと、大きな音を立てて倒れてしまった。大丈夫だろうか。でも今は一刻も早くこの場から逃れたかった。
倒れた自転車をそのままにして、駆け足でログハウスの中に逃げ込む。
中は薄暗く、落ち着いた感じで、フロントにポツンと1人受付の女の子がいるだけだ。
自然の世界から人工の世界へ足を踏み入れ、ようやく落ち着いてきた。今まで経験したことがない大自然に、言いようもない恐怖を感じていたのだろう。
フロントはバイトの地元の女の子で、設備の説明等の対応も事務的なんだけど、とりあえず、ここに来るまでの苦労話を聞いて欲しかった。
こんな気持ちになったのは、小学生の頃、迷子になった時以来だ。
しかし、地元の子なので、虫などには相当慣れているようで、まるで私の気持ちがわからない。
「ここは結構ハチいますよー。」といったサラッとした受け答えだ。まあ、そんなものか。
とにかくテントサイトを見てみよう。
チェックインを済ませ、宿泊予定のテントサイトへ向かう。
ログハウスから出ると、ハチはいったん姿を消していた。
チャンスと思い、倒れた自転車を起こし、ログハウスからさらに先の芝生へと向かう。
すでに先客がいた。家族連れが2組ほど。いやいや安心安心。とりあえず他にもキャンプをする人がいた。
ログハウスとテントサイトを結ぶ遊歩道から少し下ったところに広々とした芝生の平地があり、
そこにテントを張っている。
私も、自転車ごと芝生に乗り入れ、テントを張る場所を決め、準備に取り掛かる。
リアキャリアの黒いバッグからテントを取り出そうとする。すると、どこにいたのか、たちまちハチが襲ってきた。
何なんだ!とても落ち着いてテントを張る準備などできない。
そいうえば昔テレビで見たことがある。スズメバチは天敵の熊を襲う本能があるため、黒い物を本能的に攻撃してくるのだと。
金髪のカツラと黒髪のカツラで、スズメバチがどちらに多く攻撃するか実験していたっけ。結果は圧倒的に黒髪に襲い掛かっていたなあ。
MTB自体が黒を含む色であるし、サイドバッグ、その上に積んでいるバッグも黒である。
その姿は、立体視に優れる人間の目でも遠くから見れば四つんばいになっている熊に見えなくもない。これはちょっと危険だな。
さすがに襲われる理由まで分かってしまうと敢えて危険を冒したくなくなってきた。とりあえず、ここはやめだ。
そう決めて引き返そうとしたとき、隣の家族連れが何やら騒いでいた。よくは聞こえなかったが、子供がハチに刺されたようだ。
そういえばさっきまで水鉄砲を持って遊んでいたからな。間違えてハチに攻撃してしまったのかもしれない。
親の落ち着いた反応からみると、スズメバチに刺されたのではないみたいだが、病院もなく、救急車もすぐこないようなところで怪我はしたくない。
とりあえずさっきのログハウスまで戻り、ジュースを飲みながら今後のことを考えていた。
夕方になると身動きが取れなくなる。とにかく釧路の市街地まで行くか。
さんざん悩んだ末、それしか手段がないことを悟り、重い腰を上げた。
しょっぱなから計画が崩れた。時間だけがどんどん過ぎていく。とりあえず何とか泊まる場所を確保しなければ。
寝床の決まらない旅がこんなにもプレッシャーのかかるものだとは想像もしなかった。
山花公園オートキャンプ場を出発したのは午後2時頃だった。これから釧路市街へと向かう。距離は大体30kmくらい、時速15kmで2時間だ。
午後4時には釧路市街へ着く予定だ。とにかく暗くなる前に何とか宿を確保しておきたい。
来た道を少し戻ると、釧路市街を案内する道路標識を発見。素直に標識に従う。
しばらく行くと、周りには牧場が広がり始めた。
本当に道は合っているのだろうか。行けども行けども牧場が続いているようで、少し不安になる。

広々とした牧場が続く
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牛にやる干草かなにかをまとめた黒い円柱状の物体があちこちに積まれている。その匂いなのか、味噌のような匂いが漂っている。

釧路市街へと続く1本道
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ここまでくるとだいぶハチの数は減ってきた。自転車を止めて辺りの牧場を撮影する。
陽射しは相変わらずの強さで、腕はかなり赤くなってしまった。
すでにヒリヒリとしている。
何にしても、ハチの脅威が去ったことは精神的に大きい。ようやく旅行気分を味わえそうだ。
ただ、宿は早めに確保しなければならない。さすがにこの辺で野宿するわけにはいかない。
北海道らしい景色を楽しみながらも先を急いだ。